どうもブゲンです。この記事では、群馬県利根郡片品村の郷土かるたの札と解説を紹介していきます。
尾瀬花かるたには、この地域に生息する植物が多く名前が読み込まれているのが特徴です。
尾瀬・片品の自然を存分に堪能できるこちらのかるたを今回は紹介します。
この記事で知れる事
・尾瀬花かるたについて
・絵札、読み札の解説
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尾瀬花かるたについて
このかるたは、昭和60年11月19日に初版、平成21年6月20日の第5刷まで発行されています。現在販売しているかは不明です。
表紙の絵について…
このような説明書きがされていました。
制作にあたり、片品北小学校独立30周年記念事業実行委員会・かるた作成委員会が携わっているようです。
発行元は片品村北小学校。
印刷は東京広告株式会社
尾瀬花かるた絵札、読み札の解説
あ〜お
サワギキョウ(キキョウ科)
夏から初秋にかけてすみきった紫色の花を咲かせる。湿原の水ぎわなどに群れて生えていることが多く、高さ50~100cm。花の形が変わっていて、上唇が2つ、下唇が3つに分かれている。茎はまっすぐに立ち、秋空を群れ飛ぶアキアカネなどは喜んではねを休める。
ジュウシュウアズマギク(キク科)
上州と名がつくように至仏山と谷川岳にしか見られない。7~8月、20cmほどの高さの茎の頂に一つずつ花をつける。中央部に黄色い花があつまり、そのまわりに淡い紫色の花がとりまき美しい。至仏山では岩場などにひっそりたたずむ姿が印象的である。絵は、雲海のむこうに日光白根山が浮かんでいる。
シラネアオイ(キンポウゲ科)
鳩待峠から山の鼻へ行く途中や三平下から三平峠への林道の樹の下などに生える。花期は6月。直径7cmほどの淡い紫色の花を咲かせる。花びら状のものは4枚のがく片である。日光白根山で発見されたので、シラネアオイという名がつけられた。
エゾヒツジグサ(スイレン科)
上田代、中田代の水深75~130cm位の池塘に多く生える。葉はオゼコウホネよりもまるく、裂けた所が重なっている。羊の刻(午後2時ごろ)に開花するというのでこの名であるが、実際は午前11時ごろには開く。夜や雨の日は閉じているためか、花のもちが良く、いつまでもきれいで、花期は7月~9月上旬である。秋の紅葉も美しい。
タテヤマリンドウ(リンドウ科)
湿原全域にわたって咲くが、下田代や横田代のようなやや乾きめの高層湿原に多い。夜や雨の日は、花を閉じてしまい、小さなソフトクリームのようなつぼみになる。昔の人は、この花を見て雨に備えた。ヒツジグサもそうだが、閉じる花は長持ちするのか、花期は長く6月上旬~7月中旬。アップで見るとうっとりするような可憐な花である。
か〜こ
トキソウ(ラン科)
花期は6~7月。日当たりのよい湿原。高さ15~20cmほどのランである。淡いピンク色の花は大空を舞う「朱鷺」にたとえられる。同じ時期にやはり湿原を彩るランにアサヒランがあり、トキソウと美しさを競い合っているかのようである。花の色はトキソウより濃く、鮮やかな紅色であり、花はあまり開かずにつぼみのようである。
ヒメシャクナゲ(ツツジ科)
尾瀬の湿原一帯、それに至仏山にも見られる。これでも木か、と思わせるほど小さく、尾瀬の自然の厳しさを感じさせる。木道にすわってじっと見ていても飽きない、かわいいピンクのちょうちんである。ヒメシャクナゲというので、よく見ると、なるほどシャクナゲの葉と似ている。花期は、6月上旬~7月上旬。
オゼコウホネ(スイレン科)
上田代の池塘に多く、ヒツジグサよりも水深の深い150cm位の所に生える。ヒツジグサが花を水面に浮かべているのに比べ、水面よりも10cm位、高い所に咲かせる。尾瀬ヶ原、月山、北海道の一部にしかない珍しい植物で、雌しべの先が赤く染まるのが特徴である。葉は、ヒツジグサよりもやや細長く、裂け目が大きい。花期は7月中旬~8月。
ハクサンイチゲ(キンポウゲ科)
景鶴山や小至仏の斜面に咲く。5月~6月上旬に咲くニリンソウに似た花だが、雄しべが黄色っぽい。石川県の白山で見られたのでこの名がつけられたが、一華というよりは、花は三つか、それよりも多くつく。絵の背景は、至仏山から見た燧ヶ岳と尾瀬ヶ原で、六兵衛堀・沼尻川・上ノ大堀の拠水林が目立つ。
ハクサンシャクナゲ(ツツジ科)
7~8月。燧ヶ岳、至仏山などの頂上付近をびっしりとおおっているシャクナゲである。厳しい自然環境条件のもとで力強く根をはり、ハイマツの緑鮮かな中に淡い紅色の豪華な花を咲かせる。まさに高山の尾根を彩る花である。この花の終わるころ、燧ヶ岳では、コマクサやハクサンフウロが咲き出す。
さ〜そ
キヌガサソウ(ユリ科)
茎は1本、高さ30~60cmくらい。葉は8枚、時に7~11枚。表面にはつやがあり、葉の裏に短い毛がある。花期は6月下旬~7月下旬、花は1個。この名は、放射状に並ぶ葉を奈良時代の高貴な人にさしかけた衣笠に見立ててつけられた。白砂湿原へ向かう下り坂や沼尻から燧ヶ岳へ行く途中、鳩待峠から下ったヨセ沢などにみられる。
ミズバショウ(サトイモ科)
水分が多く、雪どけ水が運んできた泥のあるところを好む。雪どけとともに高さ20cmほどの花を咲かせる。花期は5月末~6月初め。白い花びら状のものは包であり、花はこの包につつまれた棒状の花軸に多数ならんでついている。葉は7月頃に長さ1mほどになり、バショウの葉に似ているため、この名前がつけられた。湿原一帯にみられる。
キンコウカ(ユリ科)
7月下旬から8月にかけて湿気の多い草原のいたる所に見られる。特に、アヤメ平や横田代では一面黄金のじゅうたんを敷きつめたように咲き群れる。「アヤメ平」のいわれは、このキンコウカの葉をアヤメと見あやまったものといわれる。高さ20~30cm。鮮やかな黄金の小さな花を多数つける。花の色から、「金光花」と名づけられた。
ヤナギラン(アカバナ科)
尾瀬沼の北の大江川湿原には、「ヤナギランの丘」と呼ばれる一角がある。8月、濃い赤紫の花の穂が咲きそろい、風にゆれるヤナギランの群生の中に、尾瀬に初めて山小屋を開いた平野家の墓地がある。尾瀬沼のほとりにも多く見られ、草丈も1~1.5cmと大柄である。
チングルマ(バラ科)
横田代や、小至仏の東側斜面に多く、他の湿原にも見られる。高さは10cm位の木で、花びらが散ると、雌しべが伸びてきて、白い綿毛が生え、それが子供の遊ぶ風車に似ているので稚児車-チングルマと呼ばれる。花期は6月中旬から7月。紅葉するとピカピカ光って赤く燃えるように色づく。絵の背景は、至仏山から見た横田代、アヤメ平方面。
た〜と
タムシバ(モクレン科)
鳩待峠、三条の滝などに多く、花期は5月下旬~6月上旬。においの強い花で、別名をニオイコブシともいう。また、葉をかむと甘いのでカムシバ、サトウシバともいう。おしべと花びらが、らせん階段状につくことから、原始的な植物とされている。
チシマザクラ(バラ科)
新緑の6月、里では葉桜の繁る頃、山の鼻休憩所や見晴しなどで、枝に小さな花をびっしりとつけ登山者の目を楽しませてくれる。生育地は本州中部より北に限られ、尾瀬は本州の南限であるといわれている。
ツルコケモモ(ツツジ科)
湿原でミズゴケの上をはうように伸びるつる性の植物。細い線のような茎は20cm位。硬くてつやのある葉も長さ数ミリと小さく、足もとにあっても見逃してしまいがちな花である。6~7月に淡い紅色の花をつけ、花びらは強く後ろにそり返っている。秋には赤い身をつけ、昔はこの実を砂糖づけにして味わったそうだ。
イワカガミ(イワウメ科)
岩場に生え、葉につやがあって鏡を思わせるのでこの名がついたが、尾瀬では岩場よりは、やや乾きぎみの湿地や草かげに生えている。特にアヤメ平から横田代の間は見事で、尾瀬ヶ原橋や白砂湿原付近、その他にも見られる。6月中旬~7月上旬、狭いじょうご型のピンクの花を数個つけ、花が終わっても、やや茶色っぽい光る葉が目立つ。
ムラサキヤシオツツジ(ツツジ科)
新緑の5月、濃い紅紫色の美しい花をつける。山の日当たりのよい斜面に多く、高さは2mほどになる。幹は多くの枝に分かれていて、しかも他のツツジよりも強いことから昔、この近辺ではほうきの材料にしていたそうだ。このほうきは「ヤシュウぼうき」と呼ばれ、農作業に用いられたと聞いている。
な〜の
コマクサ(ケシ科)
尾瀬では燧ヶ岳山頂付近にしか見られない高山の女王と呼ばれる植物。8月、ほとんど他の植物を寄せつけない砂礫地に点々と群れを作っている。高さ8~13cmほどの茎にピンクの花をつける。葉は根もとから生えパセリに似て細かく裂けているが全体に白っぽい。花の形が馬の顔に似ているため「駒草」と名づけられた。
オゼミズギク(キク科)
8月から初秋の尾瀬ヶ原をコバギボウシ・サワギキョウなどとともに彩ってくれる花である。高さ30cmほどの茎の頂に直径3cmほどの花を一個つける様は、黄色い帽子をかぶった子どもの姿を連想させる。鮮やかな黄色が初秋の湿原を美しく彩る。
オゼヌマアザミ(キク科)
尾瀬の特産。7~8月、中田代から温泉小屋付近、あるいは尾瀬沼周辺などで見られる。ノアザミなどに比べ、草丈もやや低く80cmほどであり、葉もやわらかそうである。花を包む部分は、トゲのようにまっすぐ立っていることが特徴である。絵は、尾瀬沼べりの花を表しており、キアゲハなどもよく蜜を吸いに来る。
ナガバノモウセンゴケ(モウセンゴケ科)
本州には尾瀬にしかない珍しい植物で、上田代と中田代の水の多い凹地に見られ、モウセンゴケよりもさらに水の多い所を好む。ねばる液のついた赤い腺毛に、小さな虫がつくと、葉は曲がり、酵素を出して消化吸収してしまう。7月中旬~8月上旬、小さくて目立たないが、かわいい白い花を咲かせる。
ショウジョウバカマ(ユリ科)
雪どけの尾瀬、ミズバショウと同じころ花を咲かせる。高さ10~17cm。春一番を競い、湿原、林の中、低山から高山まで生育地は広い。雪が少ない年は遅霜にやられ、根が凍りついてしまうこともあるそうだ。名のハカマ(袴)は葉の形、ショウジョウ(猩々)の名は花の色からつけられた。
は〜ほ
ウメバチソウ(ユキノシタ科)
絵札は、真夏の空にバッチリと5枚の花びらを開く、ウメバチソウである。至仏山の岩場にも、尾瀬ヶ原にも見られる花で、10~40cmの茎の先に、真っ白な梅の花に似た花をつける。固くつぼんだつぼみと、小さなハート型の葉もおもむきがありかわいらしい。花期は、8~9月である。
オゼソウ(ユリ科)
花期は7月。至仏山頂や谷川岳、北海道の一部の蛇紋岩地帯にしか生育しない。高さ15cmくらいでチングルマなどといっしょに咲く。淡い黄色の花は決して目立つ美しさはないが、氷河期からずっと生き残っている貴重な花である。絵の背景は至仏山から見た尾瀬ヶ原、燧ヶ岳。
オオバキスミレ(スミレ科)
山の鼻付近の林道わきの林やササの中にみられる。花期は6月初旬。1本ずつ孤立して咲く、高さ15cmほどの小さなスミレである。葉が広く大きく、黄色の花が咲くところから、この名前がつけられた。
タカネナデシコ(ナデシコ科)
花期7月下旬~8月上旬。至仏山の西側斜面の岩場に多く、冷たい西風の吹き上げる中や霧の中を、ゆれながら美しく咲いている。高さは、15cmほどで低地に生えるカワラナデシコよりずっと小さく、糸のように細かく裂けた花びらは、たいへん繊細である。
ホソバヒナウスユキソウ(キク科)
谷川岳周辺と尾瀬至仏山の蛇紋岩地帯にだけ生える。花期は7月。高さ5~12cm。全体が白い綿毛におおわれ、うっすらと雪をかぶったような様子から「薄雪草」と名づけられた。また、ヨーロッパアルプスにあるエーデルワイスと同じ仲間であることは有名である。
ま〜も
マイヅルソウ(ユリ科)
ブナの木の下に、コミヤマカタバミなどと仲良く咲いている。舞鶴草の名前は、ハート型の葉の葉脈が、鶴の羽根のように見えることによる。花びらは4枚だが、雄しべがまつ毛のようで愛らしい。葉が2枚または3枚のものに花がつき、1枚のものとは、地下茎でつながっている。花期は6月下旬~7月中旬で、秋には赤い実をつける。
ミツガシワ(リンドウ科)
大江川湿原をはじめ、上田代、中田代、尾瀬沼周辺、白砂湿原などの水深0~75cm位の浅い池に生える。地下茎をひろげながら、池を陸地化していく。花を近くで見ると、花びらが白く細かい綿毛でおおわれていて美しい。雄しべが雌しべより長い花と短い花がある。柏のような三枚の葉をひろげる。花期は、6月上旬~7月上旬。
ムシカリ(スイカズラ科)
ブナやオオシラビソなどの高木の下に、ナナカマドなどとともに生えている。ひときわ目につくこの白い花は昆虫を引き寄せるための飾りで、中の本物の花は目立たない。ムシカリという名は、よく葉が虫に食われることからつけられたが、葉が亀の甲に似ていることから、オオカメノキともいう。
カキツバタ(アヤメ科)
尾瀬沼周辺、上田代、中田代に多く、その群落は見事である。似た花で、尾瀬にはヒオウギアヤメがあるが、カキツバタは、1本の茎に1つの花しかつかず、花の模様が白いすじだけで、紫が濃いのに対し、ヒメオウギアヤメは、1本の茎にいくつも花がつき、花の模様は黄色に紫色のあやがある。花期は、6月中旬~7月上旬。
エゾリンドウ(リンドウ科)
花期は9月。尾瀬ヶ原の花もそろそろ終わりをつげ、草紅葉のころ、ポツリポツリと咲いているのがこのエゾリンドウである。枯れ草の中に、秋空をうつしたような青紫の花が美しい。高さ30~50cmくらいの大柄な花である。この花が枯れるころ、山には初雪のたよりが聞こえ、尾瀬は長い冬に閉ざされるのである。
や〜よ
ゴゼンタチバナ(ミズキ科)
ブナやオオシラビソ林の下に生え、マイヅルソウより、やや標高の高い所を好むようで、特にアヤメ平方面に多い。花びらに見えるのは包で、中の細かいのが花。花は6枚の葉の中央につき、4枚の葉にはつかない。これらは地下茎でつながっている。花期は6月下旬~8月上旬で、秋に真っ赤な実をつける。
コバギボウシ(ユリ科)
尾瀬ヶ原などの湿原に生える。この名前は小さい葉の意味で、ギボウシ属の中で、葉が最も狭い。水辺や湿地を好むので、ミズボウシともいう。ギボウシは、橋のランカンなどにつけられるネギ坊主に似た飾り玉のことで、芽出しやつぼみの形が似ているところからこう呼ばれている。花期は7月中旬~8月中旬。絵の背景は、景鶴山。
ヨツバシオガマ(ゴマノハグサ科)
7月、至仏山の山頂付近の西側斜面に岩場に多い。ホソバヒナウスユキソウなどと同じ時期である。茎は30~50cmで花も葉も4つずつついている。花の形が特徴的であり、2つに裂けた上唇の方が大きく内側に曲がり、ワシのくちばしのようにも見える。鮮やかな紅色で登山者の足もとを彩っている。
ら〜ろ・わ
ニッコウキスゲ(ユリ科)
夏の尾瀬を代表する花である。花期は7月中旬~8月上旬。中田代や大江川湿原。湿原の中の水はけのよいところに大きな群落をつくる。茎を1本出し、7cm位のラッパ状の花を昼間だけ開き、夕方にはしぼむ。1つの花は、1日だけの短命の花であるが、次から次へと咲くので、訪れる人の目を楽しませてくれる。
サンカヨウ(メギ科)
日かげの山道の樹の下に生え、50cmほどの茎に段ちがいの2枚の葉がある。茎の頂に数この白い花を咲かせる。花期は6月中旬~7月中旬。秋には、だ円形の青紫色の甘い実をつける。絵の背景は、ブナの木と至仏山である。
ツバメオモト(ユリ科)
鳩待峠から山の鼻にかけての林の中、見晴しから尾瀬沼へ向かう山道、燧ヶ岳への登山道などに多く見られる。初夏(6~7月)、うす暗い林の中に明るい灯をともすように清楚な白い花を咲かせる。オモトのように大きな葉が茎を包み込むように数枚ついている。秋には、長く伸びた茎の先に美しいるり色の実を結ぶ。
リュウキンカ(キンポウゲ科)
黄色のリュウキンカと白色のミズバショウとが入りまじった湿原は、なんとも美しい。茎が直立し、黄金色の花を開くので「立金花」という。花期は5月末~6月。花弁のようにみえるのはがく片で、5~7枚つく。霜にやられない強い花である。山の鼻付近や見晴らしから温泉小屋付近が美しい。
ザゼンソウ(サトイモ科)
花は、ミズバショウと同じ頃で5月末~6月初め。厚い包につつまれ、その中に花がある。赤いけさを着て、坐禅をしている坊さんの姿そっくりなので、この名がつけられた。少しくさいにおいがする。まだ、雪の残る六兵衛堀に顔を見せた濃い紫色のザゼンソウは見事である。東電小屋から只見川の間の湿原でもみられる。
ワタスゲ(カヤツリグサ科)
7月、白い小さな綿菓子のようなワタスゲが、湿原を一面におおっているさまは見事である。しかしこれは花ではなく種で、風にのって遠くへ飛んでいくように、綿毛が生えている。花は5月下旬、目立たない花を咲かせる(絵札の右下の2本が花)。サギスケと似ているが、サギスゲは茎の先に数個の小穂をつける。中田代、上田代、横田代などに多い。